スケルトンリフォームでは、壁や床をすべて撤去し、構造体だけにします。
とくに築年数が古い場合は、状態をチェックしてみると、
外からは見えなかった傾きやシロアリ、雨漏りによる劣化が浮き彫りになることも。
建て替えしなくて大丈夫? なんて心配になるかもしれませんが、
きちんとした材料と技術で建てられているのであれば、その部分だけを取り替えたり、
構造体を垂直・水平に戻すだけで、新築同様のような強固さを取り戻すことができます。
こちらの住まいも例外ではなく、
新築時には水平垂直を保っていたはずの梁や柱は、
経年や地震といった、さまざまな理由から徐々に傾いてしまったようです。
そこで、これをもとに戻すための工事が必要となりますが、
このときに活躍するのが『仮筋交い』です。
これは、建物が垂直・水平を保てるよう仮に設ける筋交いのことを言います。
まずは、梁や柱の一つひとつが水平・垂直になっているか水平器で確認し、
傾いていたら、正しい位置に戻していきます。
せっかく調節した梁と柱が、他の部分を直すことによって
また傾いてしまわないよう、仮筋交いを使って状態を固定します。
住まい全体が真っ直ぐに建っていることを確認したら、
梁や柱の接合部分を金物で固定。
仮筋交いを外しながら、今度は床・壁・天井の下地を入れていきます。
最終的には撤去されてしまうため『仮』という名前がついていますが
その重要性は名前以上のもので、
私たち現場担当も、それは慎重で丁寧な作業を行っています。
木造住宅は法的耐用年数が22年なんて言われていますが、
それはあくまでも税金の便宜上に定められたものです。
このようにきちんとメンテナンスを行えば、
70年、80年だって暮らしていくことも可能ですし、
これこそが、あるべき住まいの姿なのではないでしょうか。
経年とともに魅力が増すような住まいづくりがテーマのクラフトとしては、
できるだけ長く暮らして、じわじわと熟成されていく趣を
たっぷりと楽しんでほしいと思っています。