現在、都内のヴィンテージマンションをリフォーム中です。
居室は一旦スケルトンにして大規模なリフォームを進めていますが、
浴室は既存を活かします。
既存の浴室は在来工法です。
やり替えるとなると、工期もコストもかかるし、
お施主さまご自身も、こちらの浴槽に愛着をお持ちだったことから
既存の浴槽を再利用することになりました。
既存活用とは言っても、壁の仕上げはタイルから大理石に替えたため、
浴室のイメージは随分変わると思います。
既存の浴槽は、ホーロー製です。
ホーローの仕上げはガラス質で、独特の光沢やなめらかさがあり、
高級感・重厚感をたっぷりと感じさせてくれます。
ただし、使っているうちに表面のガラス質が剥がれていき、
それが錆びやひび割れの原因になってしまうこともあるため、
メンテナンスも必要です。
今回、浴槽の表面を再生するために塗装しました。
使ったのは、サーモグレーズ再生塗装という、オーストラリアで開発された塗料。
古くなった浴室設備の表面を強化し、よみがえらせてくれるという特殊塗料で
老舗ホテルや外資系ホテルのバスルームの再生にも使われています。
既存の浴槽の上からコーティングするため
解体してつくり替えるよりも工期が短く、低コストで済ませることができるのです。
それでも、ムラがないように手作業で塗っていくため
乾きを含めて2日間かかりました。
塗装後は真っ白でぴかぴか、陶器のような光を放っています。
そこまでご不満はない浴室でしたが、イメチェンして大正解でした。
新品同様に生まれ変わった浴室に、ご満足いただけそうです。
クラフトのリフォームは、とにかくすべてをつくり変えるのではなく
上質な設備であれば既存を活かします。
状態によっては、取り替えたほうがよい場合もありますが
思い入れや愛着がある場合は、デザイナーに相談してください。
きっと、何らかのカタチで残せるように努力してくれるはずです。