エイジング塗装

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クラフトのリノベーションではすっかりおなじみのアンティーク煉瓦。
経年の変色や凹凸により、独特の趣を演出できることから人気です。
その魅力を損なわないように、色の異なる煉瓦をバランスよく並べたり、
目地の凹凸を残したりと、施工にもこだわっています。

少しの面積に取り入れるだけで、空間に趣が生まれるから不思議ですよね。
お施主さまもデザイナーも、素材へのこだわりがかなり強いようで
今回の現場は、ただアンティーク素材を使うのではなく、
オリジナルでエイジング加工を施した部分が沢山あることも特徴です。

その一例がこちら。
リビングの壁の一部には、特殊なエイジング塗装を施しました。
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まるで長年、屋外の風や光にさらされてきたような古びた味わいです。
通常の塗装とは異なるため、エイジング加工が得意な塗装屋さんに依頼しました。
ただ汚すのではなく、そこに年月の重なりを感じさせることができなければ
成功とは言えない、もはや芸術作品です。
ですから、職人さんは技術と経験の他に芸術的センスも問われます。
職人さんがスポンジを使い、煤けた感じを描いていく様子を
デザイナーと僕は固唾を呑みながら見守っていました。
そうして完成した壁は、実際に経年したようにリアリティーのある仕上がり。
ちなみに、通常なら塗装後にライトなどの器具を設置するケースが少なくありませんが、
今回は塗装後の壁に傷が付かないよう、この塗装作業を最後の工程に持ってきました。
新しいことにチャレンジするときは試行錯誤が必要で、
いつもより時間がかかり大変ですが、
デザイナーや職人さん、もちろん僕も、それを楽しむことができました。

2014 10/23 10:43 Posted by H邸

天井に無垢板

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ホテルライクやシンプルモダン、ヴィンテージ風など
リフォームのご希望は、お施主さまにによってさまざまですが
今回のお施主さまは、オリジナリティにかなりこだわりをお持ちの方で
それに応えるために、デザイナーは室内の壁にアンティーク煉瓦を使ったり、
壁を煤けた風合いに塗装したりと、ユニークな素材使いをご提案しているようです。
おかげで現場も「あーでもない、こーでもない」と盛り上がっています。

そして今回は、天井にアンティーク加工を施したボルドーパインフローリングを
張ることになりました。
天井材は、床や壁に比べると手に触れることが少ないため
無難にクロスを選ぶ方もたくさんいらっしゃいますが、
天井は暮らしの中で目に触れることの多い場所です。
やさしい表情の無垢を張れば、質感に包まれているようなあたたかな気持ちで、
日常を過ごせるようになります。
今回のボルドーパインフローリングは、深みのある表情で空間に趣を与え、
同時に経年変化をたのしむことができます。

ただし、無垢板ですので、一般的な天井材と比べると多少の重さがあります。
施工にはくれぐれも注意が必要です。

天井板は、上部から「吊り木」吊られている状態です。
正確に言うと、梁上にクロスするように「吊り木受け」を置き渡し、
その「吊り木受け」から「吊り木」を垂直に下ろします。
そして、その「吊り木」の先端に「野縁」を吊り、天井板を張っていきます。
建築基準法では「吊り木」の設置は1㎡に1本とされていますが
通常の天井材よりも重量がある場合は、「吊り木」のピッチを増やす必要が。
もちろん天井材の板は、天井の下地ボードにしっかりとビスで打ち込むため
落下する心配は絶対にありません。

天井には天井板を使わなければならない、というルールはありません。
つくる人、暮らす人のアイデアによって、どのような空間も実現できることに
リフォーム・リノベーションの楽しさがあるんだな、と思わせてくれる現場でした。

2014 8/23 10:33 Posted by H邸