ボンドシリンダー工法でクラックを補修

RC(鉄筋コンクリート)造の3階建てのリフォームです。
クラフトのリフォームでは、解体時に必ず構造の状態をチェックしています。
全く問題ないこともありますが
今回は、コンクリートの構造躯体にいくつものクラックを発見しました。
気温・湿気によってコンクリートが乾燥収縮したり、
冷気でコンクリートの中の空気や水が凍結し、 膨張したりと
クラックが生じる原因はさまざまです。

コンクリートにクラックがあると、
その部分から雨水が侵入し、鉄筋に錆びが生じるため
耐用年数が短くなります。

国税庁によると、RC造の耐用年数は47年とされているものの
適切なメンテナンスや補修を行えば
「100年暮らし続けられる」と言われています。
クラフトのリフォームでは、この100年住宅を目指して補修しています。

クラックの補修は、エポキシ樹脂の注入が一般的です。
メーカーによって工法が異なりますが
その中で、今回はコニシの〈ボンドシリンダー工法〉でクラックを補修することにしました。

〈ボンドシリンダー工法〉とは、コンクリートのクラックに
エポキシ樹脂を低圧・低速で注入する工法です。
時間をかけてゆっくりと注入できるため、
クラックの奥までしっかりと樹脂が届きます。

まずはクラックの状態や長さ、幅をチェックします。
続いてワイヤーブラシやディスクサンダーなどでクラックの表面を研磨し、
油分などを拭き取って、これから使うシール材を塗りやすくします。
クラックの状態を見ながら、どの位置に樹脂を注入するかを検討することも大切です。

その後、ボルトシリンダーを固定するための座金(薄い金属の部品)に
シール材を塗り、クラック部分に取り付けていきます。

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クラックの筋に沿ってシール材を塗り、
これから注入する樹脂が漏れないようにします。

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シール材が固まったら、いよいよボルトシリンダーで樹脂を注入します。

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注入できる樹脂の量は限られているため
クラックが深かったり、大きかったりする場合は
その部分だけ、先にポンプで樹脂を注入しておきます。

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樹脂がしっかりと固まるのは、だいたい24時間後。

硬化が確認できたら、シリンダーと座金を外します。
シール材はディスクサンダーなどを使って除去し、
表面をフラットに仕上げました。

築年数が古くなると、どうしてもコンクリートにクラックが生じてしまいます。
リフォーム時に、構造躯体の状態をしっかりとチェックし、
必要があれば補強・補修をすることは
安全な住まいづくりに欠かせないことです。

これからリフォームをお考えの方は、間取りやデザインだけでなく
安全性にかかわる構造部分も念頭に置いて、
リフォーム計画を考えていただきたいと思っています。

2016 1/13 3:27 Posted by SR邸

RCの壁式構造の壁を開口 2

さて、大まかな鉄筋の位置の確認ができたら、
いよいよコンクリートをはつっていきます。

〈はつる〉という言葉は工事用語なので、なじみがない方もいらっしゃると思います。
コンクリートの床や壁を壊したり、削ったりすることです。
あくまで工具を使って”人の手”で行う作業のことで、
重機械で行うのは〈解体工事〉になります。

はつり屋さんが、壁の両側からコア抜きした箇所にハンドクラッシャーという
工具入れてコンクリートを挟み、破砕します。

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鉄筋を避けながら、2人の職人さんが壁の両側から慎重にはつっています。

こちらのクラッシャーは振動や音が少なく、
ご近所の迷惑になりにくいというメリットがあり、
クラフトの工事現場ではよく使います。

コンクリートが壊れるにつれて、はつり屋さんの足元にはたくさんの
コンクリートのガラが溜っていきます。
これだけ大きく開口したのですから当然ですね。
最後の搬出作業も大変です。

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クラッシャーという工具を使っているものの、このように手作業になるため、
かなりの体力と技が必要です。

コンクリートのはつりが終わると、今度はあらわしになった鉄筋を切断。

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この後、開口したコンクリート壁の強度を保つために、
開口まわりの鉄筋を組み直すことになります。

きちんと補強しなければ、地震で開口まわりの壁にクラックが入ってしまうことも。
こちらの作業も気を抜けません。

全部の作業でだいたい2日くらいかかりましたが、こうして壁を開口することで、
RCの壁式構造でもご希望の間取に変えることができました。
ただし、”耐震性をきちんと確保できる”と判断した上での計画になるため、
まずは現地でお住まいの状況を正確に把握することが大切です。

「フルリフォームでLDKを広くしたい」とお考えの方は、
ひとまずクラフトにご相談ください。無料で現地調査を行い、
壁の開口ができるかどうかをすぐに判断します。

2015 10/2 6:48 Posted by SR邸

RCの壁式構造の壁を開口 1

RC(鉄筋コンクリート造)3階建て、壁式構造のお住まいのリフォーム。

2部屋をつなげるために、コンクリートの壁を壊して出入り口をつくっています。
この壁を開口しても、補強をきちんと行えば問題がないことは事前に確認済みです。

RCの壁式構造は、コンクリートの壁の中に補強筋といって
コンクリートに強度を持たせるための鉄筋が入っています。
そのためこの鉄筋が「どこにあるか」を探りながら壁を開口しなければなりません。

現地調査では、床下や屋根裏をのぞいて構造を確認させていただくことがありますが、
目視では鉄筋の位置まで確認できません。
お施主さまに既存図面を見せていただいても、図面どおりではないため、
「ここに鉄筋があるんじゃないか…」なんて、ある程度予測をたてながら
プランをつくっています。

そして、工事がスタートすると、実際にどこに鉄筋があるかを現場で探っていくわけです。

配筋の状態確認に使うのは鉄筋探査機。
各メーカーから出ていますが、クラフトではBOSCHの探知機を使います。

こうしてコンクリートの壁に当てると、
ご覧のとおり画面にグラフのようなものが表示されます。
これで、5cmのところに鉄筋があることがわかりますね。

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こうして大まかな位置がわかったら、鉄筋の印をつけていきます。
うっすらと見える格子の線が鉄筋の位置です。

はつりの工具を挟む為にコア抜きした部分からも鉄筋が見えるため
より正確な位置やピッチを把握できます。

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開口部の横幅に合わせて、両端に切り込みを入れました。
開口部まわりを補強するための鉄筋が残るよう、
鉄筋の位置よりも、やや内側に切り込みを入れているのはおわかりでしょうか。

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こうしてだいたいの鉄筋の位置を把握できたら、いよいよ壁をはつっていきます。

つづきます。

2015 10/1 6:48 Posted by SR邸