完成現場で

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7月から行ってきた、大規模な工事がようやく終わり
新しい住まいが完成しました。

大きな一戸建ての木造住宅を二世帯につくり替え、
間取りやデザインも大幅に変えるフルリフォームなだけに、工事内容も盛りだくさん。
そのぶん手間も工期もかかりましたが、完成した住まいをこうして隅々まで見渡していると
「うん、なかなかよい仕事ができたなあ」と我ながら誇らしい気持ちになります。

こちらは、かなり老朽化が進んでいた住まいでしたが、
一旦スケルトン状態にし、柱や梁の歪みを解消して、基礎を補強しています。
さらに床と壁や、1階の天井にも断熱材を入れて、寒さ対策を万全に。
また、瓦だった屋根をコロニアルの屋根に葺き替えて軽量化を図り、
外壁もスタイリッシュな色合いに塗り替えました。
このように、性能・デザインもすべて一新したことにより、
和風建築からモダンな新築のように生まれ変わっています。

既存の木造の骨組みもしっかりと補強したため、
十分な耐震性・耐久性を保つことができ、安心して長く住んでいただけるようになっています。

工事が完了すると、現場監督として各所に不備がないかをチェックするわけですが、
そのときに、惚れ惚れとしてしまうことがよくあります。
今回もチェックをしながら、黒い梁ってやっぱりカッコいいな、
なんて見とれてしまいました。
天井を上げたことによって露出した梁に、新たな梁を追加し、
モノトーンがお好きだというお施主さまのために黒く塗装。
白い天井に黒い梁が映え、きりっとした印象が生まれて粋な空間になっていますね。
こういったデザインを見ると、さすがだな、とため息が出ます。

現場スタッフは工事前から住まいのイメージをしっかりと把握し、
デザイナーの意図を汲んで、図面に忠実に工事を進めています。
つまり、事前にどのような家になるかをわかっているつもりですが、
それでもこうして完成した住まいを眺めていると
やはり深く心を動かされるものがあります。

これならお施主さまも喜んでくれること間違いなし、と確信しました。

2013 12/22 4:38 Posted by WI邸

外壁試し塗り

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外壁を塗り直すとき一番悩むのは、『色』ですよね。
既存と対照的な色にするか、同じ色でちょっと明るくするか、また暗くするか。
「よし、これに決めた!」なんて即決できる方のほうが、かえって珍しいくらいです。

色見本があっても、外壁の色選びでは役に立たないことも。
小さな面積で見たときに明るかった色は、外壁のような大面積で見るとさらに明るく見え、
逆に暗い色は、大きな面積で見るとさらに暗く見えるからです。
また、隣接する住まいによっても見え方は変わってきます。
鮮やかな外壁の家が隣にあると、くすんで見えるし、
くすんだ外壁の家が隣にあると、鮮やかに見えます。

さらに、室内と屋外では光の量が異なるため彩度や明度が違って見えますし、
晴れと曇りでも印象は大きく変わってきます。
本当に、色選びは難しいのです。

しかしどのような理由があったとしても、塗装した後「イメージしていた色と違う」
なんてことは、絶対に避けたいもの。

そこでクラフトでは、色見本では決められないときや、
印象がはっきりわからないときといったとき、あくまでも状況によりますが、
今回のように外壁の試し塗りを行うことがあります。
屋外のもと、大面積で実際の色味を見れば全体のイメージがしやすく、
実際に塗ったときとブレが少ないでしょう。

今回は左に明るめのグレー、右に暗いグレーを塗ってみました。
小さな面で見ると大差のない色も、こうしてみるとやっぱり随分と違いますね。
明るいグレーなら、やさしく上品な雰囲気になりますし
暗いグレーなら、引き締まってクールな印象です。

こうして色が決まれば、試し塗りをした部分を白で塗りつぶし、
改めて色を塗っていきます。
さて、お施主さまはどちらを選んだでしょうか?

2013 12/2 4:37 Posted by WI邸

断熱工事 その2

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今年の冬も寒くなりそうですね。
皆さま、暖房対策は万全ですか?
さて、断熱工事の続きです。

二世帯住宅のこちらのお住まい。
通常は、外壁に接した部分のみにいれる断熱材ですが
旅行などで2階が長期間留守になってしまうと
暖気が上階へ逃げてしまうため、1階の天井にも断熱材を入れることにした
というお話を、前回のブログで書きました。

袋に入っているグラスウールの断熱材を、
梁と柱それぞれの間に敷き詰め、タッカー(建築用のホッチキス)で
留めていきます。

このとき、タッカーで留めた箇所が切れてしまった場合はテープで留め直し、
隙間のないように仕上げていきます。
これらは、内装工事をしてしまえば見えない部分ですが
暮らし心地に大きくかかわってくるため、
丁寧な施工で、完全に隙間を埋めていかなければなりません。

ちなみに、グラスウールはふわふわとした綿あめのようなガラスの繊維によって
あたたかな空気の層をつくります。
断熱効果のほか、保温・保冷、吸音効果も発揮してくれるため
住まいだけでなく、オフィスや工場、音楽ホールなどでも使われているほど。
コストバランスがよく、施工性が高いことも大きなメリットです。

ほかにも、古新聞からつくられたセルロースファイバーという断熱材があり、
紙の原料のパルプが持つ木質機能によって、室内の湿度を保ちます。
環境にもやさしいことから、最近注目されている断熱材の1つです。
断熱材にはたくさんの種類があるため、
ご自身の暮らしにあった断熱レベル、性能、価格のものを
デザイナーに相談しながら選んでいくとよいと思います。

とくに築年数が古い住まいでは、断熱材が入っていないことがあるため
スケルトン状態にするリフォームのタイミングに合わせて
住まいの基本性能を見直すことをおすすめしています。

最後に、断熱材が床・壁・天井の隅々まで隙間なく入っているかチェックして
必要があれば手直しし、断熱工事の終了です。

2013 10/22 4:37 Posted by WI邸

断熱工事 その1

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こちらは、2世帯住宅のお住まいです。
1階で過ごすご夫婦が寒がりなこともあり、
念のために天井にも断熱材を入れました。

断熱材は外壁に接した部分のみに入れるのが一般的ですが、
上階で暮らす世帯が旅行などに出かけてしまった場合、
温度の低い2階に、1階の暖気が逃げてしまう可能性があります。
天井にも断熱材を入れることで、熱の移動を防いでくれますし、
逆に夏は暖気をシャットダウンしてくれるので
冷暖房効果が高まり、長い目で見れば経済的です。

こちらのブログでも、断熱工事の様子を何度かご紹介したかと思いますが、
住まいによってその方法が異なることにお気づきでしょうか?

たとえば、RC造や鉄骨造では
発砲ウレタンをホースで躯体に直接吹き付けていきます。
これは、一面に同じ厚みで吹き付けていかなければならないため
ちょっとした技術が必要です。

また、少し大がかりな工事になる外張断熱という方法もありますが、
どの方法も住まいの構造によって決められ、きちんとした断熱計画のもとで施工されていきます。

こちらのように、梁と柱で壁に空間がある木造住宅では
充填断熱が経済的にも性能的にも適しているとされています。
充填断熱とは、写真のようにグラスウールやセルロースファイバーなどの
繊維系断熱材が入った袋を、柱、梁それぞれの間に隙間なく敷き詰めていく方法です。

日本の木造住宅だけでなく、北欧などでもこちらの工法がとられていることからも
充填断熱の性能の高さがうかがえます。

マンションと違い、一戸建ての寒さはひとしおです。
寒がりの方でしたら、今回のように天井に断熱材を入れる方法もおすすめですよ。

2013 10/18 4:36 Posted by WI邸

ユニットバスの下から

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「二世帯住宅」「家族が多い」「2階にプライベートの空間をまとめたい」
さまざまな理由から、2階にお風呂を設けることがあります。

リフォームでは、工場でつくった床や壁、天井、浴槽などのパーツを現場で
組み立てていくユニットバスをよく採用しています。
冬場でも温かい床、ミスト機能、保温効果のある浴槽など、
各メーカーが競って優れた製品を次々に開発しているため
豊富な種類からお好きなタイプを選ぶことができますし、
寸法の制限にさえ注意すれば、コストを抑えながら
お施主さまのご希望に叶った浴室に仕上げられるからです。

さて、写真はユニットバスを下から撮影したものです。
梁の上に、ユニットバスが数本の脚で立っている状態ですが、
浴槽にお湯を張るとかなりの重量になることから、
しっかりとした補強が必要です。
もしユニットバスの脚を乗せる梁が足りない場合は、新たな梁を設けます。

しかし、1階用のユニットバスとは別に、階上用というものがあります。
こちらは付属の補強用の梁材を、既存の梁にひっかけるだけなので、
新たな梁は必要ありません。
わりと手軽に設置できるため、工期も短縮でき、施工側としても助かります。

各メーカーの企業努力により、ユニットバスは年々
機能・デザインともに多様化し続けているようです。
しかし、現場造りの浴室は、防水工事から排水設備、浴槽の配置、石・タイル貼りなど
職人さんによる現地施工のため、ユニットバスにはない趣を表現することができます。
ここが既製品にはない大きな魅力です。
機能性やデザイン性、コストや工期がそれぞれ異なりますので、
そのあたりも含めてデザイナーに相談し、
どのタイプにするか決めていくとよいでしょう。

2013 10/4 4:36 Posted by WI邸

モルタル塗装

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内装工事が順調に進み、本日は外装工事を行っています。
これから外壁にモルタルを塗っていくところです。

写真は、モルタル塗装の前段階として防水紙と波形ラスを張った状態。
波形ラスとは、波打ったような形状をした金網のことで
モルタルと壁の密着度を高め、剥がれにくくする役割があります。
この金網を壁全体に張った後、さらにサッシの角に網を補強し、
サッシまわりに入りやすいクラックを防いでいることもポイントです。
たとえば、ステンレスのザルに粘土を貼ったところを想像してみてください。
編み目のなかに粘土が食い込んで、ちょっとくらい揺すってみたところで
そう簡単には剥がれないはずです。
工事は、一般の方がわからないような難しいことをやっていると思われがちですが
意外にも単純で、子供でも納得できるような理屈に基づいていることがほとんどです。
もし現場を訪れることがあって、「なぜこんな工事をするのだろう?」なんて気になったら
近くにいる現場担当や営業担当をつかまえて聞いてみてください。
思わず膝を叩いてしまうような、おもしろい話が聞けるかもしれませんよ。

さて、今回のお宅の外壁にはモルタルを採用しましたが、
大きく分けると、外壁材にはモルタルとサイディングがあります。

サイディングとは板材のことで、窯業系や金属系、木質系と種類もさまざま。
工場で規格どおりに製造されるため、耐久性や耐火性、耐水性にもすぐれています。
デザインも、レンガ調や木目調、石調と種類が豊富で、幅広いニーズに対応できることから
今や外壁材の主流となっています。

これだけのサイディングのメリットがありながら
なぜ今回、私たちがモルタルにこだわったかというと
モルタルでしか出せない風合いや重厚感といった見た目の美しさを
ぜひとも表現したかったからです。
こちらは、どっしりとした佇まいの大きな一戸建てですから
やはりここは、風格のある外壁で仕上げたいものです。

モルタルは、塗り方1つでさまざまな表情をつくることができる一方で
現場で働く人々の技術や知識が重要になってくることもできます。
現場担当として、その辺りは非常に神経を張りつめながら
職人さんたちの作業を見守っています。

これからモルタルを塗った後、上品な茶色に塗装していく予定です。

Posted by WI邸

床の断熱工事

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集合住宅と違って、一戸建ての冬の寒さは格別ですね。
暖房を効かせても、どことなく冷気が入り込んでくるような・・・。

こちらは、木造の在来工法の住まい。
地面から入り込んでくる冷気を防ぐため、1階の床に断熱工事を施しました。
ガラス繊維からできたグラスウールの断熱材を、根太間にピンやテープで一つひとつ固定していきます。
この根太(ねだ)という言葉にはあまり親しみがないと思いますが、
床板のすぐ下に取り付けた木材のことで、
高さ45mm角ほどの細い根太が、303〜455mmの間隔で並んでいます。
さらにその下には、105mm角の大引きという部材が
910mm間隔で根太と垂直に横たわっています。
間隔の基準は決まっていて、これよりも開いていたりすると
上に敷いた床材が人や家具の重さに耐えられなくなってしまいます。
どんなに見た目が美しい住まいでも、土台が不安定だと地震が来たときに傾いてしまい、とても危険です。
仏つくって魂入れず、なんて言葉がありますが、まさにそのとおりですね。

見えない部分だからこそ、販売・施工した企業の真価が問われる部分。
リフォームでスケルトン状態にするときは、構造部分も見直したほうがよいと思います。

写真のように断熱材を根太間に固定したら、上から合板を張って
合板と根太部分が重なる部分に釘を打ち付けます。

この方法は在来工法によく採用される断熱方法で、
外張り断熱に比べて施工がしやすく、コストも低いため、
リフォームで住まいの基本性能を見直すときにお勧めしています。

きちんと断熱工事をした住まいは、冬はあたたかく、夏は涼しい。
さらに、通風や採光をきちんと考えて設計すれば、
自然のエネルギーで快適に過ごすこともできますよ。

2013 10/1 4:35 Posted by WI邸

屋根を葺く

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ただ今、屋根工事の途中です。

屋根に乗っている物体は、瓦などに比べるとはるかに薄くて軽い屋根材です。
それでもたくさん集まれば、かなりの重量になってしまいます。
写真では、この屋根材をランダムに置いているだけのように見えますが、
屋根材の重さが一カ所に集中し、下にある構造体に負荷をかけないために
わざと散りばめているのです。

そういえば、最近、瓦の住宅が減ってきたような気がしませんか?

古い民家などではまだ健在ですが、黒く、どっしりと重厚な日本瓦などが
さざ波のようなシルエットで整然と積み重なっている様子は、
いかにも日本的で、風格を感じさせます。

江戸時代まで瓦は寺院や貴族の家だけに使用され、庶民は茅葺き、藁葺き屋根だったそうです。
しかし、火事が多い江戸の家には燃えにくい瓦のほうがいいだろう、
との考えから庶民にも瓦屋根が広がっていったのだとか。
瓦は燃えない、水を透さない、腐らない、と見た目どおりの剛健さで日本中に浸透していきました。
日本では、そんな時代から現代まで瓦文化が続いてきたのですから、
その実力は言うまでもありません。

しかし、問題点もあります。
それは重すぎる、ということ。

今では軽量の瓦も開発されており、一概には言えないのですが
屋根は住宅の一番上にあるため、重ければ重いほど、家全体が振り子のように大きく揺れます。
家を地震から守るためには、できるだけ軽い屋根材がよい、という考えから
日本瓦が使用されることが少なくなってきたようです。

そういうわけで、今回のお住まいも、瓦屋根からコロニアルの屋根に葺き替え。
釘で打ち付け、その釘部分が見えないように重ねていきます。
こちらの素材は、薄くて軽いのはもちろん、断熱性や耐久性、豊富なカラーがあり、
色褪せしにくい、さらに、アスベストを使っていないという、優秀でスマートな素材です。
軽い屋根に替えるだけで、耐震性が高まることもあるんですよ。

お住まいの地域の気候や、施工する人の技術によって異なりますが
メンテナンスをきちんとすれば30〜50年は持ちます。
せっかくなのでリフォーム時に、屋根の葺き替えも検討してみてください。

中古物件をリフォームするとき、どこもかしこも気になってしまうかもしれませんが、
まずは「安全の確保」と「この家で何年暮らしたいか」、また「予算」から
優先順位を決めていくとよいのではないでしょうか。

2013 9/30 4:34 Posted by WI邸

防水工事

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みなさんはバルコニーで、どのように過ごしますか?
洗濯物を干したり、読書をしたり、バーベキューをしたり。
青々と育ったミントでモヒートをつくり、
昼間から友達とにぎやかにやるのもいいですね。
1人ひとりに、思い思いの過ごし方があるのではないでしょうか。

そのため、バルコニーを新設するとなると、お施主さまからは
広さやデザイン、使い勝手などに関するご要望が多くなります。
しかし、我々つくり手としては「防水工事」も大切にしたいところ。
どんなに素敵なデザインのバルコニーでも、
防水工事が万全でなければ、経年によって生じたひび割れに雨水が入りこみ、
耐久性が失われてしまうからです。

今回フルリフォームした木造の一戸建て。
プランにともなって、バルコニーを新設しました。

ここで、FRP防水の登場です。
防水工事では、昔からアスファルト防水やウレタン防水、シート防水など
さまざまな方法が採用されてきました。
そのなかでも、ガラス繊維などで強度を持たせた塗料状のプラスチックFRPは、
軽量ながら、耐久性と耐水性に優れています。
乾いた防水層はシームレスの層になるため、とても強く、水漏れの心配もありません。
さらに、硬化が早いため工期が短縮でき、施工もしやすいことから
最近の防水工事では主流となっています。
住まいだけでなく、船舶やプールなどにも使用されていると言えば、
その実力はおわかりだと思います。

合板でつくった下地に、防水を密着させるためのプライマーを塗り、
乾いたらポリエステル樹脂とガラスマットを塗っていきます。
最後にトップコートを重ねて完成です。
こちらの写真は、FRP防水が完了した状態になります。

ちなみに、FRP防水はメンテナンスを行う頻度が少ないと言われていますが
人の歩く摩擦によりトップコートの劣化が進んでしまうため、
できれば5〜10年ごとに塗り直したほうが、
FRP自体が劣化したときの補修工事よりもコストを抑えられます。

このように、良い点ばかりのように見えるFRP防水ですが、
唯一注意しなければならないことが・・・。

それは「におい」です。
FRPは乾くまで、強いにおいを放出します。
今回、施工した住まいは一戸建てだったため、
マンションのように上下左右の住民の方々へのご迷惑になることは
ありませんでしたが、
日頃から、においの少ないFRPを使うようにするなどして
できるだけ近隣の方々のご迷惑にならないように配慮しています。

施工する私たちはと言うと・・・ひたすら耐える。
と言うより、だんだん慣れてしまいました。

しっかり防水を施したベランダで、のびのびと過ごしてほしいと思います。

2013 9/20 4:33 Posted by WI邸

木造住宅の寿命

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アメリカやイギリス、フランス、ドイツといった諸外国に比べて
日本の住宅の寿命は、極端に短いことをご存知でしょうか。
一般的には30年と言われており、
もし仮に90歳まで生きるとしたら、3回も立て直さなければならない計算です。
家を一軒建てるコストから考えると、一生に一度で十分ですし、
ご両親から譲り受けることがあれば
そのまま思い出を残しながら使ってあげるのが
お互いにとってベストなのでは、と思います。

そのため、クラフトではリフォームで住まいの寿命を伸ばす工事を行っています。

今回リフォームする住まいは、築年数の古い、木造2階建て。
大幅な間取り変更をともなうリフォームのため、一旦解体し、
骨組みだけを残したスケルトン状態になっています。

大空間をつくるプランにより、柱を撤去しましたが、
このままでは2階を支えることができなくなってしまいます。
そこで、残った柱を2本の大梁で挟むようにして強度を高めることに。
どっしりとした2本の梁のおかげで、少ない柱でもしっかりと2階の床を支えられるようになりました。

このような木造の在来工法は、古くから日本で採用されてきた歴史のある工法で、
代々の職人さんたちによって、さまざまな技術や工夫、智恵が生み出されてきました。
2×4工法のように一辺倒のやり方ではなく、「これがダメなら、こっちでやってよう」と
何通りの方法があるところがおもしろいところです。
これらの伝統技術に加えて、科学的な視点から安全性を高めているのが現在のやり方。

しかし、昔に建てられた木造住宅は、接合部分の金物の強度が弱いこともしばしばです。
実際、こちらの住まいもそうでした。

そこで接合部分に強靭な金物を取り付けて、強度を高めることに。
スケルトン状態にしたタイミングで構造補強を行うことで
間取りやデザインといった見た目だけでなく、
構造などの中身も新築のように生まれ変わりました。

木造住宅でもシロアリやカビなどのメンテナンスさえ行えば、
これから先50年以上暮らしていくことだって可能です。

住まいの平均寿命を延ばして、一生涯暮らしていただき、
いずれは子供たちに受け継がれるような住まいをつくりたいと思っています。

2013 9/13 4:33 Posted by WI邸