エイジング塗装

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クラフトのリノベーションではすっかりおなじみのアンティーク煉瓦。
経年の変色や凹凸により、独特の趣を演出できることから人気です。
その魅力を損なわないように、色の異なる煉瓦をバランスよく並べたり、
目地の凹凸を残したりと、施工にもこだわっています。

少しの面積に取り入れるだけで、空間に趣が生まれるから不思議ですよね。
お施主さまもデザイナーも、素材へのこだわりがかなり強いようで
今回の現場は、ただアンティーク素材を使うのではなく、
オリジナルでエイジング加工を施した部分が沢山あることも特徴です。

その一例がこちら。
リビングの壁の一部には、特殊なエイジング塗装を施しました。
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まるで長年、屋外の風や光にさらされてきたような古びた味わいです。
通常の塗装とは異なるため、エイジング加工が得意な塗装屋さんに依頼しました。
ただ汚すのではなく、そこに年月の重なりを感じさせることができなければ
成功とは言えない、もはや芸術作品です。
ですから、職人さんは技術と経験の他に芸術的センスも問われます。
職人さんがスポンジを使い、煤けた感じを描いていく様子を
デザイナーと僕は固唾を呑みながら見守っていました。
そうして完成した壁は、実際に経年したようにリアリティーのある仕上がり。
ちなみに、通常なら塗装後にライトなどの器具を設置するケースが少なくありませんが、
今回は塗装後の壁に傷が付かないよう、この塗装作業を最後の工程に持ってきました。
新しいことにチャレンジするときは試行錯誤が必要で、
いつもより時間がかかり大変ですが、
デザイナーや職人さん、もちろん僕も、それを楽しむことができました。

2014 10/23 10:43 Posted by H邸