階段の施工

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階段の役割は、ただ「上る」「下りる」だけではなく、
空間を美しく演出したり、開放的に見せたりと、
さまざまな役割を持っています。
そのため、クラフトのデザイナーの階段に対するこだわりようと言ったら、
半端じゃない。
時には「芸術品でもつくっているのでは?」と聞きたくなるほど
凝りに凝った作品も登場しています。

さて、今回の階段には「光を落とす」という役割が与えられたようです。
1階がガレージ、2・3階が住居となるこちらの住まい。
生活空間の中心となる2階に光が注ぐように、
2〜3階にかけてはスケルトンの鉄骨階段にし、
3階の天井にトップライト(天窓)を設けました。
段板の隙間からこぼれる光は、木漏れ日のようにやわらかく
壁や階段ホールに美しい光の陰影を落としては、
上り下りするたびに心の癒しをもたらしてくれます。

さらに、2階の階段ホールの間仕切り壁をガラスにしたことで、
トップライトの光が周辺にも行き届くようになりました。
もともとここには、階段がなかったのですが、
この階段を設けたことによって、
居室に明るく伸びやかな印象が生まれています。
1階の階段は木で造作し、下部に生まれたスペースを
収納として活用していることもポイントです。

ちなみに、このように少ない部材で階段をつくる場合、
強度の高い鉄骨を使用するのが一般的ですが、
鉄骨階段はとても重いため、運搬や設置がとても大変です。
時々デザイナーに「重くて大変だったよ〜」なんて言ってみたりしますが、
こうして繊細な光が降り注ぐ階段を見ていると、心が軽くなりますね。
「がんばってよかった」と、しみじみ思う瞬間です。

2013 8/8 4:21 Posted by ST邸